避妊・中絶にまつわるQ&A

よくあるご質問にお答えします。【随時更新】


Q1. 中絶が簡単にできるようになったら、安易な中絶が増えるのでは?

A. あなたの考える「安易な中絶」とは何でしょう。もし、性行為をもつことによって妊娠の可能性があることを知りながら避妊を怠る無責任な人が増えると心配しているのであれば、性行為と妊娠の関係や避妊の必要性、性的同意の重要性などの人権教育も含んだ包括的性教育をまずは充実させることこそ先決かもしれません。

また、中絶を必要とする人のすべてが無責任な人と決めつけることもできません。やむをえず中絶を必要とする人が安全な中絶にアクセスすることを、第三者が妨害するのは非人道的であり、女性差別撤廃条約違反です。


Q2. 緊急避妊薬が簡単に入手できたら、避妊なしの安易なセックスが増えるのでは?
(避妊を嫌がる男性が喜び、女性の負担が増えるのでは?)

A. 避妊は女性だけがするものではなく、男性にも避妊の責任があります。なぜなら妊娠は女と男のセックスによって起きるからです。でも、妊娠は自分の身体に起こることではないからと避妊を「安易」に考え、コンドームの装着を嫌がる男性もいます。

セックスは人間のもっとも親密なコミュニケーションでもあり、お互いを大切にする人間関係としてのセックスという考えを教える性教育が必要です。日本の性教育は妊娠・出産に重点が置かれていますが、人間関係としてのセックスという考えや避妊、中絶なども含めた公正で包括的な性教育を充実させる必要があります。

また避妊をしても失敗する場合があり、「避妊の最後のとりで」である緊急避妊薬(アフターピル)へのアクセスは重要です。緊急避妊薬は性交後72時間以内に飲めば妊娠を約80%防げる薬で、飲むタイミングが早ければ早いほど効果が高いため、海外の多くの国々では、必要になった時すぐに手に入れて服用できるよう、薬局等で店頭販売されています。(なお、海外では性交後120時間以内に飲めば効果のある緊急避妊薬も使われていますが、日本では未認可です。)

緊急避妊薬は日本でも認可はされていますが、海外のように簡単にはアクセスできません。アクセスを困難にして、避妊としての効果が失われるのでは意味がありません。ただ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を考慮し、2020年4月に厚労省が緊急避妊薬のオンライン診療を、時限的・特例的に認めました。また、緊急避妊薬へのアクセス改善を求める要望書が市民から出されています。


Q3. 中絶は生命の軽視では?

A. 「生命軽視」の逆は何ですか? そこで軽視されているのは誰の生命ですか? どうすれば生命は重視されるようになるのでしょう? いきなり一方的な断罪を始めるのではなく、もう少し議論を深めるために一緒に考えてみませんか。

まずはご自分の考えている「中絶」観を振り返ってみてください。「中絶」を週数の進んだ「赤ちゃん同様の胎児を殺していること」と捉えていませんか。また、いったん妊娠したら、必ず「人間」に育っていくのだとも考えていませんか。実際には、妊娠初期の流産は15 %程度生じています。

現在、日本の中絶の95%が妊娠12週までに行われており、そのうち55%は妊娠7週までに行われています。

妊娠プロセスが始まると、妊娠14~15週頃までに胎盤が形成されていきますが、日本の中絶の95%は胎盤がまだ完成しない妊娠12週未満で行われています。胎盤ができあがる前はまだ不安定な状態で、出産を望んでいても流産してしまうこともある、そんな段階です。

さらに妊娠8週までは「胎嚢」と呼ばれる袋にくるまれた「胎芽」と呼ばれる状態で、産婦人科学では「胎児」と呼ばないほど小さい存在です。まだ他の哺乳類の胎児とほとんど見分けがつかないくらい未分化で未熟な状態です。医師によっては妊娠10週くらいまで胎芽と呼んでいる人もいます。

そのような妊娠の早期の中絶に、日本では8割もの医師が搔爬と呼ばれる手術を用いています。この事実は、中絶を受ける当事者の心身を苦しめているのと同時に、「中絶は残酷なこと」として当事者を責める風潮が作られており、そのこともまた当事者の苦しみを強めています。

さらに何らかの事情で中期中絶に至った当事者は、無麻酔で胎児を分娩する方法を強制されていますが、これも海外では考えられない非人道的な医療です。妊娠初期でも中期でも、中絶の当事者に対するインフォームド・チョイスも心のケアもほぼ皆無の状態です。

日本の中絶で軽視されているのは、むしろ当事者の健康と権利、そして人間としての尊厳の方ではないでしょうか。


Q4. 中絶されようとしているお腹の中の赤ちゃんが逃げているビデオを見たことがあるけど...?

A. その種のもので有名なのは、1970年代のアメリカで女性のプライバシー権に基づく中絶合法化が行われた際に、中絶に反対する人々が流産した赤ん坊を使って作った偽物の中絶手術のビデオです。当時の技術をもってして、お腹の中のどこにカメラを据えたらそんな映像が取れるだろうと考えれば、明らかにお腹の外に作られた人工的なセッティングであったことが理解できるはずです。

このビデオは、「胎児が可哀想、中絶は残酷で悪いもの」というイメージを植え付けるために作られたプロパガンダで、一部の性教育担当者やカトリック系の学校などを通じて日本にも流布しているようです。科学的な真実に目を向けてください。


Q5. このプロジェクトは中絶を勧めているの?中絶賛成なの?

A.  中絶を選ぶのは妊娠している当人なので、私たちは中絶を勧めても、賛成しているのでもありません。ただ、中絶を必要とする人がいる限り、安全で人道的な中絶医療という選択肢が提供されるべきだと考えています。


Q6.堕胎罪があることで、安易なセックス、安易な中絶の歯止めになっているのでは? 

A. ルーマニアのチャウシェスク政権は人口を増加させるため、1975年から89年まで中絶と避妊を厳しく取り締まりました。しかし、産み育てられない女性たちは、違法で危険な闇堕胎に頼るしかなくなり、人口は増えず、結果的に女性の死亡率が急上昇、捨て子も増えたことが知られています。この教訓として、中絶を禁止しても人々の性行動を変えず、女性の健康や生命を犠牲にするだけだと世界では考えられています。


Q7. 中絶の配偶者の同意を廃止にしたら、胎児の父親の権利はどうなるの?

A. 生物学的に胎児の父親(精子提供者)であっても、その胎児を宿している女性の意志に反して彼女の身体を行使する(強制的に妊娠を継続させたり、出産させたりする)ことはできません。そんなことを許したら、女性は奴隷状態に置かれることになります。


Q8.  妊娠は二人の共同作業の結果、共同責任だから、中絶も二人の意思できめるべきでは?(だからパートナーの同意も必要では?)

A. 妊娠は女性の身体に生じるできごとであり、その妊娠に関与した男女の意見が一致しない場合には、最終的にその身体の持ち主である女性の意見が優先されます。


Q9. 中絶と堕胎ってどう違うの?

A. 中絶は人工妊娠中絶の略語で、母体保護法(旧優生保護法)によって刑法堕胎罪の違法性が阻却された合法的中絶について用いられる言葉です。堕胎は刑法上の罪状である「堕胎罪」に由来する名称で、非合法中絶に用いる言葉です。


Q10. アボーションって中絶のこと?

A. セーフ・アボーションの「アボーション」には、合法的な中絶と流産後の処置の両方が含まれています。どちらも全く同じ目的と結果をもつ手続きだからです。


Q11. 中絶と流産ってどう違うの?

A. 中絶とは、人為的に妊娠を終了させる医療処置のことを指しますが、流産は何らかの理由で妊娠が終わってしまい、多くの場合、妊娠組織が自然に外に流れ出すことを指します。流産しても子宮内に妊娠組織が残っている場合には、中絶と全く同じ処置を施します。


Q12. 中絶薬ってどんな薬?

A. 通常、ミフェプリストン1錠とミソプロストール4錠をセットにしたものが「中絶薬」と呼ばれています。ミフェプリストンをのむと妊娠継続に必要なホルモンが抑えられ、妊娠11週までの初期であれば95%の妊娠が終了します。その後、1日ほど経ってからミソプロストールを口の中で溶かすようにして服用することで、子宮が収縮し、妊娠組織がはがれて膣から外に排出されます。妊娠週数によっては、普段の月経よりかなり重い出血や月経痛のようなものが生じることもあります。

現在、日本ではミフェプリストンも「中絶薬」のセットも認可されていません。ミソプロストールは胃潰瘍の薬として認可されていますが、中絶に用いることは認められていません。

なお、ミフェプリストンが認可されていない国で、ミソプロストールのみを使って中絶を行う服用法が使われることもあります。その方法を使う人にとっては、ミソプロストールが「中絶薬」ということになります。


Q13. 現状では母体保護法で中絶ができるのだから、わざわざ堕胎罪の廃止を要求する必要

ないのでは?

A. 日本には中絶に関して母体保護法(旧優生保護法)と刑法堕胎罪という二つの法律があります。堕胎罪はいまから100年以上前につくられた刑法で、基本的に中絶を犯罪とみなし、女性と医師を処罰の対象にしています。女性が自分の意思で自ら中絶した場合でも処罰(投獄)されます。

母体保護法は堕胎罪を前提としながら、一定の条件を満たせば中絶しても堕胎罪に問われないことを定めた法律で、中絶はあくまで「医師の認定による」ことが原則です。堕胎罪に問われない条件は二つあります。①妊娠を続ける、または出産することが「身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれ」のある場合と、②レイプされて妊娠した場合です。現在日本の中絶のほとんどは①によって、医師の認定により合法的に行われています。

したがって堕胎罪で逮捕される人はめったにありません。堕胎罪のことを知らなかった人も多いのではないでしょうか。しかし忘れてならないのは、中絶はあくまで条件付きで認められているにすぎないことです。つまり条件がせばめられれば、いまは眠っているようにみえる堕胎罪が息を吹き返すのです。

実際に1970年代と1980年代のはじめに、法律(当時は優生保護法)を「改正」し、条件をきびしくして中絶を取り締まろうという動きが、一部の国会議員とその支持母体である宗教団体から起きました。その法案が成立すればほとんどの中絶は堕胎罪で処罰されることになります。そのため、女性を中心とする「改正」反対運動が全国に広がりました。マスコミもこの問題を大きく取り上げ、与党(自民党)のなかからも慎重意見が出て、「改正」案はかろうじて阻止されました。しかし、堕胎罪がある以上、いつまた同じような「改正」案が出てくるかわかりません。ですから堕胎罪が残っているのは大問題なのです。

堕胎罪の212条は妊娠した女性自身が自ら中絶することを罰していますが、ほかの条項では医師など手術をした人も処罰の対象になっており、結果として中絶ができないようになっています。妊娠した女性には、いつ何人子どもを産むか産まないかを選び決定する権利(国際的にはリプロダクティブ・ライツといわれます)があり、産まない選択を否定している刑法堕胎罪は、明らかにリプロダクティブ・ライツを侵害するもので、廃止されるべきと考えます。ただし、妊娠した本人の意思に反して行われる「不同意堕胎」は、違法行為として処罰(たとえば傷害罪を適用)する必要がありますが、この点についてはさらに議論を深めなければいけません。

日本も締結している女性差別撤廃条約について、締結国の条約がどれだけ守られているかを監視している国連女性差別撤廃委員会も、刑法堕胎罪と母体保護法は女性差別に当たるとして、日本政府に対し法の見直しを再三勧告していますが、日本政府はいまだに何も対応しておらず、中絶に関する二つの法律はそのまま残されています。


※上記すべての回答は、事実に基づき情報提供も兼ねて一意見として掲載しています。

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